近鉄特急車内にて
駅弁「名古屋コーチンとりめし」
お茶
今日から息子、体育の日の連休を挟んで5日間の秋休み。駅弁「名古屋コーチンとりめし」
お茶
「良い機会だから大阪の父ちゃんに会いに行こう!」
ということになったのだけれど、
「せっかくだから、伊勢神宮に行ってみない?1日くらいなら休めそうだし」
「どうせだからさぬきうどんも食べないか」
「だったら、帰り1日は父ちゃん仕事だから、母ちゃんと2人で京都を散策しないか」
と、詰め込めるだけ詰め込んだらなんだか節操のない旅程になった。
「というわけでね、金曜は始発で出るよ。4時半起きで、5時の電車ね♪」
「へ?」
「6時の新幹線に乗るからね」
「……うん」
なかなかの強行軍になってしまって息子を驚愕させたのだけれど、そんな感じで今日から旅行。私は朝4時、まだ真っ暗なうちに起きてベランダの花の世話と猫の世話をして、息子をたたき起こしたあと身支度調えて、いざいざと始発に乗って東京駅に向かった。東京で乗った新幹線も始発、「のぞみ1号」。
朝6時の新幹線だというのに車内はなかなかの混雑で、お茶だけ飲み飲み移動して、朝御飯は乗換駅の名古屋で弁当を買うことに。名古屋を出る近鉄特急は朝8時10分発、ちょっと遅めの朝御飯にはちょうど良いくらいの時間の便だ。
で、私が買ったのは「だるま」という弁当屋さんの880円なりの「名古屋コーチンとりめし」。息子が選んだのも同じく「だるま」の「絶品ひつまぶし」。
わーい名古屋だ名古屋だ♪とばかりに、調子に乗って「旅行中におやつに食べよう」と、「世界の山ちゃん手羽先味しっとりせんべい」とか「みそ煮込みたまご」なんかも一緒に買ってしまった。ただでさえそこそこの大荷物なのに、食べ物たっぷり追加して乗り込んだ特急電車。
竹皮の包みにくるまれた、ちょっとレトロな外見の「とりめし」は、なかなか良い感じ。照り焼き風の鶏が3切れと甘く煮付けた椎茸と人参、山菜、そして鶏スープで炊いたご飯と沢庵2切れという内容で、やや軽めの内容が朝御飯にもちょうど良かった。
息子の「ひつまぶし」も、「2膳目は薬味を添えて、3膳目はお茶漬けで」の説明もちゃんとついていて、お湯に溶かせばOKの粉茶やおろしわさび、海苔も別添でついてくるという凝ったもの。あいにくお湯は手に入らなかったので「鰻茶漬け」は食べられなかったのだけれど、息子はたいそう満足したみたいだ。
名古屋を出る時はけっこうな混雑だった特急も途中駅で空いて、伊勢市に到着の頃はかなりガラガラ。大阪からやってきただんなともこのあたりで落ち合って、無事に鳥羽駅に到着した。
……で、最初に訪れたのは「鳥羽水族館」。
クラゲの飼育に力を入れている水族館のうちの1つと聞いていたので、いつか機会があれば行ってみたいなーと思っていた水族館だ。一般的には、「海獣がたくさんいる」ことで知られている水族館。建物自体は歴史を感じさせる古いものだったけれど、展示コーナーはあちこち手が加わっていて、見応えのある綺麗な水槽も多かった。
「おゆきさんはクラゲ見たいでしょ?まずクラゲ行こうよ」
と、特に順路が設定されていない水族館だったこともあって、最初に目指したのはクラゲコーナー。展示されていたのはブルージェリーフィッシュとタコクラゲ、ギヤマンクラゲ(かなーり小さい……)、ミズクラゲ、カブトクラゲ、サカサクラゲ、エダクダクラゲ(これまた、ちーっちゃい)、といった感じ。
小さめクラゲがやや多めだったのがちょっと残念だったけれど、今日の展示はタコクラゲがたいそう綺麗だった。足がちぎれてしまいがちなタコクラゲ、地元で採取しやすい地域の水族館ということもあってか、綺麗に足が揃っているのが多くてとても綺麗。カブトクラゲも美しかった。
あとは、さすがの海獣の充実ぶり。
「セイウチショー見ようよ。千葉や東京でセイウチが見られるところってあんまりないんだよ。ましてやショーが見られるところってあんまり聞かないし」
と、ちょうどタイミングも合ったので見てみることにした「セイウチ パフォーマンス笑(ショー)」は、さすが関西圏のショーという風で、期待以上にたいそう楽しいものだった。何が楽しいって、司会の飼育員さんたちのやりとりが楽しい。セイウチの挙動も楽しい。
「セイウチは犬や猫と同じで、人に興味を持つと匂いを嗅ごうとしまーす!噛みついたりはしませんが、身に危険を感じたら!逃げてくださーい!」
特に柵も何もなく、セイウチ水槽の前にブルーシート敷いてその周囲に椅子を並べただけのショーコーナー。
「セイウチにキスされたら、かなーり臭いです!思っている臭さの5倍くらい臭いですから逃げてくださいねー!」
なんて事前説明の後、目の前にセイウチたちがやってきた。
「はいはーい!いっぱい動画撮ってくださいねー!youtubeとかに挙げてくださいねー!写真撮ってブログに載せてくださいねー!」
もうノリノリで、ひたすら「餌をくれ」と飼育員にバシバシと前足でツッコミを入れ続けるオスセイウチと、愛想良くポーズを決めていくメスセイウチと。
最後は客席の前をゆっくり移動してくれて、「どうぞ、どうぞ撫でてみてくださいねー」言われて、初めて「セイウチ肌」を撫でさせてもらった。むっちむちしていて巨大で(体重500kg超!)、外見はいかにも脂身が多そうな感じなのに、実際はかなりな筋肉質。
短い茶色い毛が生えてはいるけれど、いかにも「海の生き物」という感じにツルンとしている。で、ほ乳類だから、やっぱりちゃんとあったかい。愛嬌のある顔のセイウチ、たいそう可愛かった。
他にも、アシカ、アザラシ、スナメリ、パンダイルカ、ジュゴンにマナティ、ペンギン、ラッコにビーバー、カワウソ、カピバラなどなど、魚以外の海獣や動物がなかなかたくさんいた水族館は見応えたっぷりで楽しかった。いつか来てみたいと思っていた水族館だったから、大満足。
鳥羽「七越茶屋」にて
天丼セット \800
「鳥羽も、明日行く伊勢も、まぁ観光地だから観光地飯が多いよねー……」天丼セット \800
と、お昼御飯は事前にちらっと調べておいたお店に行ってみることに。
鳥羽水族館からほど近い「七越茶屋」というお店は、手頃な価格でこの地域の名物の伊勢うどんや手こね寿司をいただけるみたい……と伺ってみたら、平日限定ランチはなんと800円。なかなかお得な感じだったし、味も良かった。私にとってはこれは人生発の伊勢うどん。
ミニ丼と、ミニサイズの伊勢うどん(か、手打ち麺のわかめうどん)、ミニサラダがセットになって800円のセットは、カツ丼・天丼・海老フライ丼(カツ丼のカツを海老フライに変えた感じ……みたい)・ねぎとろ丼からの選択。
僕カツ丼ね、俺天丼ね……という感じで、家族全員このセットをいただくことにした。手こね寿司とうどんのセットもあったのだけれど、手こね寿司はまた食べる機会があるかなと今は見送りで。
地方に寄って特色あるうどん、「伊勢うどん」もまた独特な感じのものだった。さぬきうどんの「醤油うどん」ともまた違う、やや甘さのあるトロリとした醤油だれが少量絡んだうどんは、うどん自体が「煮込みすぎです、てか、煮込みすぎるにもほどがあります」というほどにくてんくてん。コシもへったくれもなく、太めのうどんが芯までてろんてろんに煮込まれている。
そのうどんの食感も独特だし、甘さのあるタレの味もやっぱり独特。今日のうどんはそれほどの甘さはなかったけれど、話によると「みたらし団子のタレ並に甘い」というものもあるらしい。息子はそれを聞いて「僕はわかめうどんがいいや……」と伊勢うどんではない方にしたのだけれど、この店のうどんは私のを分けてやると「なんだ、普通に美味しいじゃん」だそうだ。そういう意味では初心者向けの食べやすい伊勢うどんだったのかもしれない。
天丼は、大きな海老と舞茸の天ぷらも乗っていて、ミニサイズながらうどんと一緒に平らげるとしっかりお腹いっぱいになった。
今回の鳥羽伊勢巡りは、近鉄が出している「まわりゃんせ」というパスポートを使ってやってきた。名古屋や大阪からの往復特急券にエリア内の電車バス船乗り放題、観光施設の入場券つき。
「鳥羽エリアだと、ここに無料で入れるみたいねー」
と案内見ながら、観光船乗って、ついでにミキモト真珠の施設にも寄ることにした。
昼御飯後、ちょうど船が出るタイミングだったので乗ってみたのが「鳥羽湾めぐりとイルカ島」。鳥羽湾一周するついでに、途中に「イルカ島」なる島に寄る。「いつでもイルカやアシカたちとふれあえる」がウリの、イルカやアシカのショーが見られる島だそうで、「まぁでも、イルカに御飯、とか、イルカに握手、とかはばっちりお金取るわけよ」と一応立ち寄ってみたら、これが思った以上に鄙びた施設で苦笑い。
「あと20分でアシカショーが始まりますよぅ!」
と案内されたけれど、そのショーを見るためには往復500円のリフトに乗らなければならず(スキー場でも今時滅多にみかけないシングルリフト……ちょっと怖い……)、海の水をそのまま引き込んだような水槽は、水がどんよりと緑色に濁っている。
ただ眺めるだけなら無料だったイルカたちも、なんだか微妙にストレスを抱えているような挙動をしていて、「あららぁ」と、島内ではジュース一杯飲むこともなく(ペットボトルの自動販売機は500ml1本200円とお高かったし)、30分後の次の船で元の船着き場に戻ったのだった。
イルカ島に向かった船は普通の小ぶりの連絡船だったのだけれど、帰りの船は観光船「竜宮城」。これがまた、船内あちこちに浦島太郎の像が飾られたなんだか笑っちゃうような仕掛け満載の船で、なかなか楽しかった。船内でかき氷とか生ビールいただけるようになっていて、ちょっと良いなと思ったり。
「普通に入場すると、大人1500円取られるらしいよ」
「マジでか!」
なんて言いながら最後に立ち寄ったのは「ミキモト真珠島」。
養殖真珠の作り方の紹介やら、世界の真珠装飾品の展示やら、創業者の逸話やら、そんな展示満載の島。養殖真珠、時間をかけて育てれば育てただけ大きなものになるのかと思いきやそうではなくて、中に埋め込む「核」のサイズで真珠のサイズが決まるのだそうだ。大きな核は育成に失敗するリスクも大きくなるので、それが希少性に繋がるのだとも。
ふーん、ほー、へー、と、眺めて歩き、最後に「海女の実演」も見てから島を後にした。
目の前の海に船から飛び込んで素潜りし、「貝採れました~♪」とアピールしながらの10分ほどの実演ショー。紐のついた樽は貝を入れる以外にも浮き輪のような役目を果たしている風で、「急に息をつかないように」と口笛を吹きながら潜るのだという文化もこれで初めて知ってみたり。
なんだかノリが修学旅行のような感じになってきた。明日は神社巡りだしね。
鳥羽 「錦浦館」にて
焼きサザエ・焼き帆立
刺身盛り(マグロ・タイ・サザエ・イカ・ボタン海老)
伊勢海老のタルタルソース添え
伊勢海老の鍋仕立て
カレイの南蛮漬け
昆布の酢の物
茶碗蒸し
手こね寿司
吸い物
漬物
メロン
ビールたんまり
さて、そろそろチェックインできる時間になったしね、と、駅の売店で風呂上がりに飲む用のフルーツ牛乳やらビールやらを買い込んで、駅近くの宿に。焼きサザエ・焼き帆立
刺身盛り(マグロ・タイ・サザエ・イカ・ボタン海老)
伊勢海老のタルタルソース添え
伊勢海老の鍋仕立て
カレイの南蛮漬け
昆布の酢の物
茶碗蒸し
手こね寿司
吸い物
漬物
メロン
ビールたんまり
今回の旅行、緊縮財政励行中の折りでもあるので、「宿はとにかく安いとこ!」を条件に選んでみた。あまりにも評判が悪いところは避けて……と、選んでみたのが「錦浦館(きんぽかん)」。
金曜日の平日宿泊なら、1泊2食つきの「リーズナブルプラン」が3名1室で1人6,800円。駅近だしお風呂も天然温泉だそうだし、と、ここに泊まってみることにした。
そんな格安プランだったのに、用意してくださっていたのは角部屋のツインベッドルームつきの部屋。洗い場つきのバスルームとトイレがそれぞれちゃんと個室でついていて、8畳部屋に絨毯敷きの間がついて椅子とテーブル、そして海が見えるベッドルーム。
建物自体は古いものだったものの、お風呂も充分広いし、宿の方の対応も良いし、部屋の冷蔵庫も外から買ってきたものを入れられる場所があったし、「こりゃいいね♪」と家族全員御満悦。
そうそう、線路脇に立つホテルだから、「全室海側眺望」イコール「全室近鉄眺望」という感じ。期せずして、行き交う近鉄線がよく見える「トレインビューの部屋」ということになって、「お、あれ豪華な特急だ」「2階建てなんだねーいいなー」なんて、のんびり列車を眺めてみたりもした。
夕飯が、まんまwebサイトの写真の内容同じだったのには笑ってしまったのだけれど(1品も違えることなく同じというのはある意味すごい……)、さすが伊勢志摩エリア、夕食には1人1尾分の「伊勢海老」が。
肉食いの息子には貝や海老に「やったぁ!」という感じではなかったかも……だけど、私とだんなは「うひょー♪」という感じ。部屋出しで、テーブルにずら~りと料理が並ぶいかにもな「温泉旅館の夕食」的なこの光景、私は案外嫌いじゃなくて、「どれから食べよう♪」とビール飲み飲み全部しっかりいただいた。
伊勢海老、半身はタルタルソース添えで、半身は鍋で。刺身はごくごくフツーな感じだったものの、でっかいボタン海老のお刺身は美味しかった。で、お昼に食べなかった「手こね寿司」がここで出てきて、「あ、なんか名物口にできちゃったわ」と。
手こね寿司、つまりは「づけ丼」みたいなものなんでしょ?と思っていた。
鰹や鮪などの赤身の魚を醤油を中心としたタレに漬け込んだ後、寿司飯へと合わせて食べる。好みにより、大葉や生姜、海苔などをちらす。観光案内では漁師が漁の合間に食べた食事がもとであり、考案したのは志摩町和具の漁師とされ、沖での忙しい鰹漁のさなかの食事として、獲れた鰹を千切りにして醤油を付け、炊きたてのご飯に手で混ぜて食べたのが始まりとされる
wikipedia より
だそうで、宿で出てきたのは、「醤油だれをまぶしたおにぎりの上にづけまぐろを乗せた風なもの」といった感じのもの。まぐろのづけだれに刻み大葉も混ぜてあった。
でっかくて甘くて美味しかったデザートのメロンを平らげたところで、もう一同疲れて「もうダメだ~」と。二度目のお風呂に行く気力もなくなってしまって、9時頃まではそれでもなんとか起きていたものの、早々に布団に入ったのだった。我が家、旅行に出るとやたらと就寝が早くなる(そして私は超早起きになる……)。