2013年12月4日水曜日

今日は歌舞伎座

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「POINT ET LIGNE」の
 ハモンリコッタ
 ドゥビザー焼き栗
ミルクティー
自家製ヨーグルト w/紅玉りんごジャム
朝御飯は、昨日、新丸ビルで買ってきたお気に入りの「POINT ET LIGNE」のパンで。
 
母好みの煮出し紅茶のミルクティーを用意して、自家製ヨーグルトに紅玉りんごジャムにと、あれこれテーブルに並べてみた。買ってきたパンは焦がさないようにいつも以上に注意を払って(だっていつも以上にお高いパンなんだもの!)、パイ類はさっくりこんがり、温めた。
 
蜂蜜と黒胡椒で風味をつけたハモンセラーノとリコッタチーズ入りのころりと丸いパンと、みんな大好き「ドゥビザー焼き栗」。秋口に購入して美味しかったこのパン、11月までの期間限定だと聞いていたのだけれど、人気商品なのか12月に入った今も販売されていた。
 
公式サイトの案内によると
 
上品な甘さのなめらかな焼き栗あんは、砂糖を一切使わない天津甘栗がもつ本来の奥深い味わいです。サクサクとした繊細なデニッシュ生地との相性は絶妙で、高級和菓子を思わせる名作。是非一度ご賞味下さい。
数々のメディアで紹介された人気の季節限定商品です。
 
ですって。
 
「高級和菓子」という表現が言い得て妙で、でも、包まれたデニッシュ生地はバターたっぷりという風におっそろしくさっくさくのパリッパリ。なんともリッチで美味しい「栗パン」なのだった。
 
んで、自信作の紅玉りんごのジャムは、母にも大好評。
「あらぁ……美味しいわねぇ。紅玉がいいの?やっぱり紅玉がいいの?」
と、素材の良さばかりにやたらと注目されてしまったけれど、「美味しい」という言葉を貰えたので私は満足。
銀座マロニエゲート内「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」にて
 Menu du Jour \3500
 オリジナルカクテル \800
 水(アクアパンナ) \890
今日は(今日も)お出かけ。
 
せっかく都心に行く用事があるのだしと、午前中から精力的に活動してみた。まずは丸の内のブリックスクエア、三菱一号館美術館で開催中の「三菱一号館美術館名品選2013-近代への眼差し 印象派と世紀末美術」を見に。
 
私は、展覧会自体よりもむしろ「三菱一号館」の赤レンガ造りの建物に興味津々。元々の建物は1894年(明治27年)に建設されたのだそうで、それを極力忠実に再現した建物なのだそう。展覧会の展示室内は写真撮影禁止だったけれど、展示室と展示室を繋ぐ廊下や階段は撮影可能で、「絵になる風景」ばかり。たいそう面白かった。
 
展示は想像以上に点数が多く、でも展示点数の多さはリトグラフによるものが多かったのがちょっと物足りなかったかな……と。それでも、一度来てみたかった三菱一号館美術館に来られて満足だった。
 
お昼は、「こないだ、ここで美味しいクレームブリュレを食べたんだよ」と、有楽町までてくてく歩き、マロニエゲート内の「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」でちょっとカジュアルめなお昼御飯。
 
プリフィクススタイルの、前菜・メインディッシュ・デザートと食後の飲み物のコースの「Menu du Jour」をいただいてきた。
 
前菜:秋刀魚とジャガイモの温製サラダ仕立て
「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」にて、秋刀魚の前菜。うま♪ ポールボキューズのオリジナルカクテル(アプリコットリキュールのスパークリングワイン割り)をいただきつつ、卓上には名物突き出しの「スパイスの香りを付けた鶏肉のリエット “マルコポーロ風”」とバゲット。ほんのりカレーの風味がある鶏肉のリエットはあっさり味で、バゲットに良く似合う。
 
前菜は3択、私がいただいたのは「ローズマリー風味の秋刀魚とジャガイモを温製サラダ仕立てに シェーブルチーズのヴィネグレット」。
 
母は「本日の前菜」のミルフィーユ風の鴨のムースを選び、残る選択肢は追加料金1000円が必要な「鴨フォワグラのソテー 酸味をきかせたキャラメルソースのアクセント マルメロのコンフィチュールと特製パンケーキと一緒に」というもの。このフォアグラのソテーも美味しそうだった。
 
ガーリックトーストを添えたミックスリーフのサラダと、ほのかに温かな秋刀魚とじゃがいも。ソースはほんのり山羊乳の香りのドレッシング。日本人としては、「秋刀魚は皮目をパリッと焼かなきゃ!」なんて思ってしまうのだけれど、しっとり柔らかく火の入った秋刀魚も美味しいものだった。上品に香るローズマリーも良い感じ。
 
メイン:豚フィレ肉のフォワイヨ風
「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」にて、メインディッシュは豚肉。柔らかで美味しかった♪ メインディッシュも3択。「甲殻類とポロ葱のクリームを閉じ込めたパート包み焼き」か、「本日のメイン料理」の「鶏肉の赤ワイン煮込み」。
 
私と母は、残り1択の「豚フィレ肉のフォワイヨ風マスタード風味のソースエシャロット 旬の茸と根菜のボルドレーズ添え」にした。
 
お行儀良く、一列にお肉と添え野菜が並んだお皿。
 
しっとり柔らかく火の入った豚肉の上には、こんがり焼き色のついたパルミジャーノ。辛さを感じさせない程度にマスタードの風味を効かせたソースが敷かれて、真ん中にはどこか和風の雰囲気もある茸のソテー。モロッコいんげんや蓮根も入っている。
 
肉そのものはたいそう美味しかったけれど、パルミジャーノのトッピングが少しくどいかなぁという印象も、少しだけ。
 
デザート:“ムッシュ ポール ボキューズ”のクレーム・ブリュレ
「ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座」にて、名物クレームブリュレ。でも今日はちょっと、いまいち……。 で、デザートはお楽しみの名物クレームブリュレ。
 
他の選択肢は「ベルべーヌ風味のババロアと巨峰のコンポート」「ガナッシュショコラをのせた紅茶のフィナンシェ」「モンブランのクープ仕立て」と、どれもそれぞれ美味しそう。でもやっぱりこれでしょと、母も私もクレームブリュレ。
 
んー……でも、今日のクレームブリュレは、ちょっといまいちだった。
 
表面のキャラメリゼのパリンパリンが肝なはずなのに、今日のはなんだかしっとりめ。焼き色は綺麗についていたけれど、「焼いてから時間を置いて持ってきたのかなぁ?」と思うほどに、キャラメル部分が水分を吸って、わずかではあったけれどしっとりぐんにゃりしていたのだった。プリン部分もなんだか冷たくなくて、ぬるい感じになっちゃってるし。これが食べたくて、てか母に食べさせたくて来たのになー……なんだか残念だった。
 
残念といえば、前回は感じなかった給仕の悪さも、なんだかなと。
 
こちらが「今日の前菜ってなんですか?」と尋ねるまで教えてくれなかったり、料理の注文の後に飲み物も、と続けて頼もうとしているのに「忙しいのよ」と言わんばかりにメニューを手に去りかけたり、フォークの置き方、皿の置き方下げ方、いちいちなんだか「雑だなぁ……」と。
 
「ブラッスリー」にそこまで期待しちゃあかんのかなーと思いつつ、前回はそんな感じがなかっただけに、「あれぇ?」と思っちゃったのだった。それでも2人で1万円近くの金額を飲食しているわけで、それでこのサービスだと「こんなんだったら、もう来なくてもいいかなー」と思ってしまったり、して。ちょっと残念。
 
歌舞伎座にて
 桟敷幕の内 \3700
 お茶
昼食後は、マロニエゲート内の東急ハンズにちらりと寄って、あとは銀座をぷらぷら。予約していたJohanのパンを受け取って、午後3時過ぎ、目指したのは「歌舞伎座」。
 
「新しい歌舞伎座、行ってみたいわねぇ」
と春から母が言っていたので、
「じゃあ12月の演目、見に行く?忠臣蔵だよ、幸四郎と玉三郎と、あと海老蔵も出るよ」
と誘って、気合いを入れて一階桟敷席のチケットをゲットしてみた。桟敷席なんて、母も私も人生初めて。
 
「何着ていけばいいの?着物なんて、お母さん着ないわよ」
「……私だって着ないよ」
てかね、さすがに夜の部でジーンズ姿はいないとは思うけど、多分母が思ってるよりずっとカジュアルな服の人が桟敷に座ってるよ、だいじょぶだいじょぶ……と、「都内のホテルで夕飯食べる」くらいの洋装で、いざいざ歌舞伎座。
 
歌舞伎座、一階桟敷席。お茶セットが置いてあるのです。 桟敷と言っても、やや後ろ側。2人席が10個並んだ、後ろから2つめのブロックが私たちの席。
 
専用のドアがあって、小さな上がり口に、半畳ほどの畳の席。座椅子が並び、掘りごたつ式でテーブルがついている。
 
お茶のティーバッグが2つと湯飲みが2つ、保温ポットには1リットル分ほどのたっぷりのお湯。
 
1等席が18000円で、桟敷席は20000円。初めての桟敷はやっぱり居心地が良くて(何しろ幕間の御飯が食べやすい……)「1等席に2000円足して桟敷になるなら、そりゃ桟敷が良いよねぇ」と思うに至った。まぁ、私、一人で見に来る普段は三等席ばっかりなわけだけどね……。
 
んで、桟敷席の特権のもう一つが、「桟敷幕の内」(と、桟敷寿司のメニューもある)が注文できること。
 
2日前までの予約が必要で、当日歌舞伎座場内1階の弁当コーナーで支払いをする。
 
で、幕間の20分ほど前にそっとドアから弁当が届けられるので、休憩に入ったら後ろを振り返って弁当を手にして、食べるだけ。場内の食堂で食べる楽しみもあるけれど、せっかくの桟敷なのだからー……と、注文してみたのだった。
 
桟敷幕の内、こんな感じで届きました。 届けられたお弁当は、こんな感じで。
 
手つき袋の中に重箱が2つ。具入りのお椀が2つと、保温ポットが1つ。
 
吸い物もセットと聞いて「どうやって届くのかなー冷めないのかなー」と思っていたら、そんな工夫がされていた。
 
椀の中には湯葉と三つ葉など。上品な味の美味しい吸い物だった。
 
桟敷幕の内のお重その1。 あいにくと、お弁当は「あったかーい」というものではなかったけれど、値段に相応しい美味しいものだった。
 
きのこと根菜の炊き合わせ、蕪とがんも、もみじ麩の煮物、生湯葉と、はまぐりの佃煮。
 
塗りのお重に陶器の器で、食事をするには30分という長いとは言えない幕間も、なんだかゆったり楽しめた。
 
桟敷幕の内のお重その2。松茸ごはん! そして御飯は、松茸御飯!
 
御飯の隣には、デザートのわらび餅、オレンジとりんご。
 
奥側は、鴨肉に、びっくりするほど美味しかった牛ステーキ、銀だらの西京焼きに、甘めの玉子焼き、甘酢蓮根、銀杏、こんにゃく、菊花の酢の物、柴漬けなどなど。
 
黒色・柿色・萌葱色の歌舞伎の定式幕色(のかまぼこが、なんとも可愛かった。
 
本当は、三越あたりで小さめの日本酒瓶でも買ってきてお猪口は家から持参して……とか思ったのだけれど、「それやったら、絶対観劇しながら寝ちゃうよね」と自重。私は寝なかったけれど母は途中危ない感じだったし、見渡すと一等席でも途中、こっくりこっくりしている人が何人も。歌舞伎観劇は長丁場だから、見る方もなかなか疲れるよねえ……。
 
んで、肝心の演目、「仮名手本忠臣蔵」。
 
大星由良之助(大石内蔵助)が幸四郎、おかるが玉三郎、おかるの兄の寺岡平右衛門が海老蔵。中村獅童も2役で登場し、年末らしい華やかな舞台だった。海老蔵、やっぱり人気、あるんだねぇ。登場するたび、客席が「海老蔵でたー!」って感じに盛り上がるのが面白かった。
 
で、35歳の海老蔵の「妹」役が63歳の玉三郎というのがなんとも面白く。
 
「そないに刀を振り回す兄様、怖いわ、いややわー」てな感じにおどおどする玉三郎が綺麗だわ可憐だわ可愛いわで、どうしようかと思った。玉三郎、相変わらず凄かった。
 
あらすじもばっちり予習していったので余裕でついていけたし、花道が真正面という良席もたっぷり満喫(でも、西側桟敷は「裏」になるから、役者さん、後ろを向いてしまうのよね……それを覚悟のうえで「それでも花道に近いほうが」とこっち側の席にしたわけだけど)。
 
雪降る中、ずらりと浪士が並ぶ討ち入りのシーンも圧巻だったし、想像以上にすごくしっかり「チャンバラ」していた戦いの場面も、歌舞伎的にもっと「舞う」ように戦うのかと思っていたから、予想に反する楽しさがあった。母も楽しんでくれたようで、何より。
 
「桟敷、やっぱりよかったわねぇ……次に見に来る時も桟敷にしましょうね」
だそうで、すっかり味をしめてしまったようで。