2015年1月17日土曜日

観劇前に「銀之塔」

※今日の写真はクリックすると大きくなります※
「ミスタードーナツ」の
 エビグラタンパイ
 チョコファッション
カフェオレ
「しまった、ミスドの福袋使わなきゃ」
と、気がついた、今はもう1月中旬。
 
2000円の福袋を買った今年、有効期限3月末までの「ドーナツ・パイ引換券20個分」が手元にあるのだった。たいてい1人2個、家族3人で6個買うから3回分+α。1ヶ月に一度は食べなきゃいけない計算だよねー……と、昨日、ミスドに行ってきた。
 
残念ながらクロワッサンドーナツやミスドビッツ、最近発売されたブルックリンなんちゃらのシリーズには適用されないのだそうで、「ブルックリンなんちゃら、おいしそう……」と思いつつ、値札を見比べて「なるべく高いものと交換してもらおう」とあざとく選抜する私。
 
私の大好きなwaffはたったの100円なので、これはあかんと、全員パイを1個ずつと、あとは150~160円の価格帯のものを1個ずつ選んでみた。だんなはエンゼルクリーム、息子はストロベリーカスターフレンチ、私はチョコファッション。
 
普段あまり価格を意識しないで買っていたけど、ハニーチュロなんかも、けっこう良い値段がしてるのね。なるほど。
 
息子は今日、一日登校だそうで(お昼は学校で出してくれるそうで)、朝早くドーナツ食べて出かけて行った。私とだんなは8時を過ぎてからのんびりと、エビグラタンパイは中までしっかり温めて、もぐもぐ。今日はだんなとおでかけだ。
銀座「銀之塔」にて
 ミニセット \3800
 瓶ビール
今日はだんなと2人、歌舞伎観劇。
 
お昼はどうしようか、夕飯どうしようか、デパ地下とかで美味しいお弁当買う?と相談の結果、
「久しぶりに"トゥールダルジャン"はどうですかねぇ」
と、だんな。
 
だんなが言う「トゥールダルジャン」はホテルニューオータニ鴨料理の名店ではなくて、歌舞伎座のすぐ脇にあるビーフシチュー専門店「銀之塔」のこと。
 
パリのトゥールダルジャンで修行した料理を日本風にアレンジして供することになったから、そのまま店名が「トゥールダルジャン」の日本語訳の「銀之塔」になった、のだそう。もう50年以上も前から同じ場所、同じ建物(戦前からの蔵を改装した独特の造り)で営業していて、初めて食べに来たのはもう20年ほども前の事。味も雰囲気も全く変わってなくて驚いた。いつの間にか、本店のすぐ裏手に別館もオープンしている。
 
本当は観劇後に行ければなと思ったのだけど、終演予定は夜9時近く。銀之塔のラストオーダーは20:30だそうだから、それは駄目そうだねぇと、ちょっと遅めの昼御飯に伺うことにした。
 
あまり上の階に案内されたことは無かったのだけど、今日は3階のお座敷でお昼御飯。ちょっと天井が低めで、でも空間は広々しているので圧迫感はなくて良い雰囲気だった。階段が狭くて急で、そこはいかにもな感じなのだけど。
 
久しぶりに来たし、シチューの他にグラタンも食べたいよねと、私もだんなもシチューにミニサイズグラタンがついた「ミニセット」。シチューはビーフとタン(タンだけ1000円増し)、ミックスと野菜の4種類。フォークとスプーンではなくお箸とレンゲでいただくシチューは、御飯(おかわり無料)の他に和風の小鉢が3つと漬物皿もついてくる。
 
銀座「銀之塔」にて、和風の小鉢3種類。 瓶ビール飲み飲み待つこと10分ほど、最初にやってきたのは小鉢3種類とお漬け物。
 
組み合わせは昔と全く変わらず、ひじき・切り干し大根・ぜんまい。漬物は大根、人参、きゅうり。
 
すごいなぁ、ほんとに全然変わってないなぁ……と、感動とびっくりが混ざりつつ、甘めのしっかりめの味付けの煮物をつつきつつ、次のお皿を待つ。
 
銀座「銀之塔」にて、ミニグラタン。椎茸たっぷりなんですよ。 シチューの前には、小ぶりの耐熱容器に入ったグラタンも登場。
 
この外見、ついてくるのが「デザートスプーン」というのも、以前と全く変わっていなかった。
 
このグラタン、マッシュルームではなく「椎茸」が入っているのがとても独特。
 
とても滑らかで美味しいベシャメルソースなのだけど、椎茸が入っている以外にも、ソースのバター感が控えめであっさりした後味もなんだか和風。とろける系チーズではなくパルメザンのみを使っているみたいだから、そこもあっさりしているポイントなのかも。
 
海老と椎茸がごろごろで、「そうそうこれこれ、この味~」と、うっとりしながらいただいた。
 
銀座「銀之塔」にて、ミックスシチュー、匙を入れるとこんなに具沢山! そして真打登場!のミックスシチュー♪
 
テーブルにやってきた時は一番上の写真のような、ソースたっぷりのシンプルな外見なのだけど、匙を入れると、この具沢山っぷり。
 
食感を活かす具合に煮られた野菜は、玉ねぎと人参とじゃがいも、きぬさや。
 
そしてタンも1~2切れ入ったお肉もたっぷりと。年季の入った土鍋で供されるのも全く変わっていなかった。
 
甘さ控えめなシチュー、さらりとしているけれどしっかり濃厚で、でもくどくはないから「赤ワインと一緒に」というよりは「御飯と一緒に」の方が似合う味わい。
 
具をせっせと食べて、御飯も食べて、最後に残った御飯をシチューにぶちこんで「シチュー和え御飯」を食べるのがたいそう幸せなのだった。御飯は軽めの盛りだからお代わりをしてちょうど良い分量ではあるのだけど、さすがに私も良い年なのでお代わりせずに1膳でもぐもぐ。
 
全く変わっていなかった銀之塔、美味しかったし嬉しかった。
「歌舞伎座」にて
 「菓匠花見」の揚そふと
 ペットボトルのお茶
午後は数時間銀座をぷらぷらして、銀座三越のJohanで予約しておいたパンを受け取って、お弁当は買わずに歌舞伎座に。
 
「歌舞伎座出てから、新橋に向かいがてら"じゃんがら"はどうだろう」
という話になったら、もう俄然ラーメン心が盛り上がってしまったので、それでいこうということになったのだった。幕間はお茶でも飲んでのんびりしましょう、と。
 
壽初春大歌舞伎」、演目は新年早々こんな血なまぐさい演目で良いのか?と思ってしまった「番町皿屋敷」。「四谷怪談」と並んで、一度見てみたいと思っていた演目だったから、「私、1月の夜の部見に行こうと思うけど一緒に行く?」とだんなを誘ったのだった。
 
1階ロビーはこんな感じに華やかなお正月飾り。
 
1月ということでか、いつも以上に華やかな着物姿のお客さんも多くて、今日は土曜の夜ということもあってか満席だった。幕見席は立ち見客もぎっしりという賑わいだった。
 
幕間を挟んで3つの演目「番町皿屋敷」「女暫」「猿翁十種の内 黒塚」は、それぞれ趣きも違っていて、どれも面白かった。久しぶりに歌舞伎観劇をしたというだんなも「歌舞伎はやっぱり面白いねぇ」と。ほんと、できれば毎月見に来たいのだけど、一番安価な席でも4000円(で、筋書も買いたいわけで、それが1400円とかだし)だから、なかなか大変。
 
「番町皿屋敷」は、「いちまーい、にーまーい」の井戸のシーンが絶対あるものと思っていたのだけど、それが出てくるのは江戸の「播州皿屋敷」「新皿屋敷月雨暈」なのだそう。明治の「番町皿屋敷」には、亡霊シーンは無いのだそうだ。お話は、お菊が青山播磨に切られ、井戸に打ち捨てられた後、「一生の恋は終わった」と喧嘩人生に生きていく播磨が駆け去るシーンで終わる……という感じ。
 
「……うん、"一本気で融通の利かない男は、嫉妬深いベチャッとした湿度高めの女に惚れちゃいけない"という教訓話なんだね」
と幕間にだんなに言ったら、微妙な顔をされてしまった。
 
「女暫」はうってかわって楽しいお話。
 
歌舞伎十八番の「暫」をパロディにしたものだから、全体的に笑いがたっぷり。悪人(蒲冠者範頼)が善人(清水冠者義高)たちの 首をはねようとしたところでヒロイン(巴御前)が、「しーばーらーくー!しーばーらーく!」言いながら登場して、悪人をやっつけるというこれ以上なくわかりやすい筋で、巴御前の衣装は「暫」なぞらえた柿色の素襖姿(こんなの)。
 
花道にちょこりと座って「ここを動きません」と意思表明するのだけど、そこで出てくるのが女鯰若菜(七之助)。「女同士なのだからお前が行って説得してこい」と押しやられるように巴御前(玉三郎)の前に出てくるのだけど、そこでのやりとりが、
「おや、大和屋の姐さんじゃございませんか」
「あら、そういうあなたは中村屋のお七ちゃん」
といった風の「中の人」のやりとり。
 
玉三郎の美しさは言うにおよばず、でも七之助も美しくて、眼福でございました。
 
巴御前は大立ち回りをみせた後に最後は「六方を踏んで退場」するだけなのだけど、最後にまた花道にへたりこんで、
「女だてらにお役を果たしたけど、終わったと思ったら太刀が重い、もう動けない……誰かー誰かたすけてー」
と助けを呼び、そこに出てくるのが舞台番辰次の吉右衛門(なにこの豪華な組み合わせ)。
 
「六方ですか、私も見よう見まねですが、こんな感じですよ」
と 「やっとことっちゃ~うんとこな~」と調子をつけながらゆっくり「六方」の所作をして、それを真似て恥ずかしそうに玉三郎が六方を踏んで、太刀放り出して「ああ恥ずかしい」と去って行く、という。
 
「善人」の姫さまたちの衣装も艶やかで、「悪人」の赤っ面の面々もわかりやすい悪人ぶりで、ほんとに楽しい舞台だった。……ていうか、私はそもそも元の「暫」を知らないわけで、やっぱりちゃんとこれも見ておかなきゃなぁ、と。
 
そして最後は「猿之助の名が歌舞伎座にお目見えするのは実に平成15年以来」なのだという、猿之助の「黒塚」。
 
簡単に言えば、阿闍梨と山伏が老女に化けていた鬼女と相対する話。猿之助はその鬼女(=老婆)の役回りの舞踏劇だ。前半はゆったりとした「老婆の踊り」が案外長くて、「なんか退屈な演目だわ」と思ってしまったのだけど、半ば以降、「童女の心に戻った老女の踊り」からの鬼女の本性が出てからの阿闍梨たちとの戦いは、「あ、ごめんなさい。すごいです猿之助すごいです」と「すごいすごい」の感想一色。
 
何がすごいって、猿之助の身体能力が凄かった。
 
踊りがほとんどずっと中腰で、だんなは「見ているだけで大腿四頭筋が痛くなってきた」だそうで、私は私で「自分の腰を揉みたい衝動に駆られた」感じ。動きにキレがあって美しいなぁと感動したけど、その美しさは歌舞伎というより「マッスルミュージカルを見る的な美しさ」というか。
 
三階席からは、「月の光で踊る老女」のシーンで、照らされる影がくっきりはっきりよく見えて、それが影絵のように美しかった。
 
今日の大向こうの「○○屋!」の声は3人くらいだったかな。でも「大和屋!」「中村屋!」「澤瀉屋(おもだかや)!」「播磨屋!」と今日は屋号がたくさん飛び交っていた印象。
楽しい観劇でした。
 
そうそう、幕間に食べたのは、「菓匠花見」の「揚そふと」という揚げまんじゅう。こしあん入りで1個ずつ薄紙にくるまれていて、サイズもお手頃。
 
「あ、この揚げ饅頭、おいしんだよー」
とだんなに言ったら、「喰うたことあるんかい」と苦笑いされた。ええまあ、3階席観劇多いから3階売店で売られているお菓子は、けっこう口にしてるのよ。
銀座「九州じゃんがら」にて
 九州じゃんがら 角煮・味玉入り
そして「面白かったねー」言いながら、銀座の賑やかな方目指しててくてく歩き、「九州じゃんがら」でラーメン。こう寒いと、(あったかい劇場内とはいえ)常温のお弁当つつくよりはこういう夕飯の方が幸せなのよねと、とんこつラーメンいただいてきた。
 
じゃんがら、たまには「こぼんしゃん」ではなく「じゃんがら」を。 じゃんがらで食べたいラーメンと言えば、圧倒的に「こぼんしゃん」(にんにくたっぷり濃厚スープ)なのだけど、今日はもっとあっさりな気分なのよねと、看板メニューの「九州じゃんがら」を。
 
なんというか、スタンダードな、あっさりめの「九州とんこつラーメン」という風で、それが恋しい気分だったりした。
 
遅めの夕食でお腹もすいてしまって、「角煮&味玉入り」で。元々メンマやきくらげ、葱などと共に薄切りのチャーシューも乗っているのだけど、そこにごろりと大きな角煮、半熟の味玉が入って、なかなかの具沢山。
 
正統派とんこつラーメン、外食は久しぶり。地元にもこういうラーメン屋、ないかしら。時々狂おしく食べたくなるから、探しておこうかなと……(東京のとんこつ醤油ラーメンよりも、真っ白なとんこつラーメンの方が私は好きなのねー)。