2013年4月16日火曜日

今日は歌舞伎座に

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バタートースト
スモークサーモン・スクランブルエッグ
アイスカフェオレ
日向夏(はるか)
Johanの食パンをシンプルにバタートーストにして、
「ややや、スモークサーモン残ってた……」
大丈夫かなー大丈夫だなーと確認して、スモークサーモンを添えたスクランブルエッグを用意した今日の朝。
 
アイスカフェオレと、甘くて美味しい日向夏の新品種の「はるか」も出して、今日も昨日に続いてかなり幸せな献立になった……んだけど、一緒に食卓についた息子はなんだか不機嫌。
 
毎度寝覚めの悪い息子、「義務教育中は起こしてやる」と私は決めている(高校になったらもう知らん……)のだけれど、ここ数日は疲れもあってか、いつにも増してなかなか起きられない。子供部屋のドアを開けると目の前にあるのは息子の足なので、これまでふくらはぎをばしばし叩いていたのだけれど、それでも起きないから、今度は脛をばしばし叩くことにした。
 
「痛いっ痛いっ!すっごく痛いんだけど!」
「痛くしてんだよ起きないから。オラ起きろ。起きなさい」
 
痛くされたくないなら自力で起きれば良いのよ私なにか間違った事言ってる?……と、そんなやりとりをしているものだから、まぁ、息子は不機嫌なのだった。優しくゆさゆさ揺するくらいじゃ起きないてめぇが悪い。と、お母さんも口汚さが増す一方。よろしくない。だから自分でビシッと起きてよー。もー。
 
そんな感じで食卓の雰囲気は殺伐としていたけれど、でもすごく美味しかった朝御飯。Johanの食パンってやっぱりすごく美味しいな!
歌舞伎座客席で
 きじ弁当 \1000
 ペットボトル麦茶
さて、今日は楽しみにしていた「歌舞伎座新開場 柿葺落四月大歌舞伎」の観劇~。
 
学生時代にちょこちょこ見ていた歌舞伎。結婚やら出産やらですっかり遠ざかっていたけれど、歌舞伎座リニューアルオープンの報を目にするようになって、「こけら落としは見たいなぁ」と思っていた。先月、日生劇場で上演していた歌舞伎を予習で見に行ったらこれがたいそう面白く、悩み悩んで四月公演で三部上演されるうちの一部と二部のチケットを同じ日で取ってみた。
 
実のところ、一番見たかったのは幸四郎が弁慶を演じる三部の「勧進帳」だったりしたのだけれど、お祝いムード満載の一部も、白浪五人男の二部もいずれも楽しそう。1枚だけは良い席を押さえてみようかなと、これまた悩み悩んで、一部は4000円の三階B席、二部は15000円の二等席のチケットを入手した。ご祝儀価格でもあるのだと思うけれど、一等席は20000円。これはちょっと、かなり、懐に痛い。そこそこのクラスのホテルに一泊できる価格だと思うと、ちょっと手が出せない(二等席だって清水ダイブだ)。
 
お昼御飯はどうしようかな~銀座三越でお弁当買うのも良いな、歌舞伎座の中のお店で食べるのも野望ではあるけれど今回は止めておこうかなと、わくわくしながら東銀座に向かった。お弁当を食べるのは三階席の観劇での幕間ということもあるし、簡単な感じで良いなぁと歌舞伎座でお弁当を買うことに。
 
東銀座駅からは地下で歌舞伎座に直結するようになっていた。地下2階の土産物屋やお菓子屋はチケットを持っていない人でも買い物することができて、売り場脇の長いエスカレーターは、歌舞伎座正面近くの地上出口に続いている。
 
新生歌舞伎座。「一見変わってない感じ」がむしろスゴイ。 なんでも、外装も内装も「できるだけ以前の歌舞伎座の面影を残すように」作られたのだという。
 
記憶の中の歌舞伎座とほとんど変わることなく、ただ建物の向こうには、かつてはなかった高層ビルがそびえていた。
 
内部も一見変わらないように見えて、でもハイテクを駆使した近代的な設備が整えられているのだそうだ。上手下手両サイドにあたる場所にエスカレーターが設置され、大入り満員の今日もさほど不自由なく上下階を移動でき、売店もとても賑やか。
 
三階B席からの眺めはこんな感じ。舞台遠いな! で、三階B席からの眺めはこんな感じ。
 
覚悟していた事とはいえ、三階B席、やっぱりなかなか、舞台が遠い。
 
以前の歌舞伎座より傾斜をつけて見えやすくしたとは聞くものの、それでも花道が見えるのは舞台寄りの5mくらい?という感じだ。
 
幸いだったのは、前の席の人の頭が邪魔になったりすることはないということ。距離はあったものの、舞台全部がばばーんと見えるのはなかなか気持ち良いものだった。これで4000円、一等席の1/5と思えば、そう悪くないのかな……とも思える。
 
今日の演目はこんな感じ
 
まずは、「壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり)」。こけら落としを寿ぐ舞踏で、藤十郎が鶴に扮し、「春の君」染五郎と「女御」魁春が舞う。途中から宮中の男女10人も加わり、たいそう華やかな舞踏だった。舞台の奥行きを存分に活かして大人数が古式ゆかしい衣装で踊るのは圧巻。美しかった。
 
そして15分の休憩の後、「十八世中村勘三郎に捧ぐ お祭り」。
 
勘三郎を偲んで縁の深い役者が30人近くも登場する、これまた賑やかな演目だった。観客の目を攫ったのは、勘三郎の孫の七緒八(なおや)君、2歳。お父さんの勘九郎に手をひかれながら花道を歩き、
「今日はせがれの七緒八も連れて参りました」
と、紹介されると、大向こうから「中村屋!」ならぬ「なおや(なお屋?)!」の声がかかって、会場が笑いに包まれた。
 
この七緒八くんがえらい良い子で、以降30分以上、舞台上の椅子に座って、騒ぎもせずにおとなしくしていたんだなぁ……ついつい「お母さん目線」になってしまって、密かにはらはらしていた私。
 
で、その七緒八くんの隣に芸者「おなか」役の七之助がお母さんのように寄り添って座っていて(で、七之助の扇子をいじろうとする七緒八くん……)その七之助が美人過ぎて色っぽすぎて最高だった。実の叔父が舞台の上で絶世の美人になっているというのは、歌舞伎役者ならではの体験だわよねぇ……なんて考えてしまう私。
 
さすがこけら落とし、といった感じの豪華な舞台を満喫した後は35分間の休憩でお昼御飯タイム♪
 
購入したのは歌舞伎座内の売店で買った「きじ弁当」1000円也。
 
ちまちまっと詰められた1つ1つの料理がそれぞれ違う味わいで、野菜も肉も魚もと、この日本の「お弁当」というものは他の国に負けない素晴らしい食文化だと思う。冷めても美味しい(というか、そもそもが常温で食べるのを前提とした味付け)とか、料理が密着しても味が混ざることのない工夫とか、食べやすさとか。
 
つい先日図書館で借りてきた『ELLE a table』に弁当特集の小冊子がついてきて、でもこれが微妙に拍子抜けだった(エスニックやフレンチなどのお弁当の提案があったのだけれど、お洒落に箱に詰めりゃ弁当になるってわけじゃないのよ、という感じでね……)から、なおのこと「そうそう、これが日本のお弁当♪」と思いながらもぐもぐ。
 
筍や里芋の入った炊き合わせや、鶏つくね、鰆の西京焼き、ひじきに昆布巻きに玉子焼き。御飯の上には錦糸玉子と鶏の照り焼き。西京焼きが美味しくて幸せだった。
 
会場内には2階3階の客席出口に隣接して食事処もあって、そこも賑わっていたみたい。3000円の「花かご膳」とか美味しそう……と思いつつ、豪華なお弁当では、そう長くはない休憩時間で全部平らげるのはなかなか大変なことになりそうだ。
 
そして昼食休憩後の演目は「一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)」。
 
「義太夫狂言の名作」とのこと。前半の演目に比べると華やかさはあまりなく、テーマも戦国時代の無情とか悲哀とかといったもの。しかも「時代物」ということで台詞もたいそう聞き取りづらく、「……これは大変……」と思いながらパンフレット見い見い頑張って鑑賞。後ろの席から見ていると、前方の席のお客さんの1割くらいはすっかり首を前に倒して船をこいでいた。この演目、もっと歌舞伎がわかるようになって見た方が感動が深いのだろうな、と。わかりきれない未熟な観客ですみません……。
 
で、13:55頃に一部が終了、14:10には二部の入場開始。「一部と二部、続けて御覧のお客様は~」なんてアナウンスがあり、そのまま場内ロビーで待機できるよう案内があった。そして私は三階席から一階席に移動。
 
これがこれが。15000円の二等席だったわけだけど、「えー、こんな感じなの?」と席について少々がっかり。
 
舞台下手側、花道を左に見る後方の一階席だったのだけれど、頭上には二階席が大きくせり出していて、舞台の上部が切れて見えなかったりはしないものの、それも「ぎりぎり」といった感じで、けっこうな圧迫感。
 
しかも三階席に比べると前後の席の傾斜がゆるく、前に座る人の頭が少なからず邪魔になる。以前より改善されたとは聞くけれど、劇団四季の四季劇場なんかは前の人の頭と頭の間に後ろの人が来るように席をずらして配置しているので、その状況に慣れてしまっていると歌舞伎座のこの席はなかなかつらいものがあった。
 
「歌舞伎座とはそういうものだ」というものなのかもしれないけれど、1万円以上払ってこの席なら、私はずっと三階席で良いかなぁ……と。
でも、二部は花道での見せ場も多い演目だったから、そういう意味では花道がばっちり見られる席で幸せだったのかもしれない。
 
売店にあんみつ売ってたなー休憩時間に食べようかなーと思いつつ、もう立つのが面倒になってしまって、間食せずに休憩時間は売店を覗きに行ったりしていた。
 
というわけで、最初の演目は「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」。
 
「知らざぁ言って聞かせやしょう」の言い回しが有名すぎる、知識のない私でも「ああ、弁天小僧菊之助か!」とわかる演目だ。
「浜松屋見世先の場より滑川土橋の場まで」ということで、575調が楽しい口上に派手な仕掛け舞台にと、華やかで楽しい内容だった。
 
台詞も先の熊谷陣屋に比べるずっと聞き取りやすく、舞台を見ているだけでもすんなりあらすじを理解することができた。良いとこのお嬢さん(弁天小僧菊之助が女装している)が呉服屋で万引きしようとして結果男とバレて、「バレちゃあしょうがねぇや」とばかりに「知らざぁ~」のくだりになり、仲間の南郷とやいやい言いながら(どちが荷物を持つとか持たないとか)花道を去って行く。
 
そして一旦幕が閉じ、次の舞台は桜咲く稲瀬川の堤。傘を持ち青みがかった紫色も鮮やかな小袖を着た(パッと見似ているけれど、全員着物の柄が違うの)5人がずらりと花道に並び、やってくる追っ手を前に名乗りをあげて大立ち回りを演じる様は、「あ、日本の戦隊物ってここから来ているんだわ。超かっこいいゴレンジャーって感じだわ」なんて思ってしまったり。
 
10分の幕間を挟んで、幕が開けばそこは屋根の上。寺の大屋根に追い詰められた弁天小僧菊之助が多くの追っ手に囲まれるシーンから、弁天小僧の頭である日本駄右衛門と追っ手とのやりとりに。
 
弁天小僧菊之助を演じるのは尾上菊五郎。正直なところ、風格も貫禄もありすぎる大役者なので女装しても「女装したおっさん」以外の何物にも見えないわけだけれど、ハマり役と評される弁天小僧はさすがの面白さだった。
 
そして幕間20分の後に、玉三郎の「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」。
 
初めて見る演目、解説を読んでざっとまとめると、「平家の残党を追ってきた源氏側の武士が、平家本拠の元御所で女と会う。"貴方を都で見初めて追ってきただけだ"というその女に平将門を討ち取った話をすると、やおら悔しがり悲しがり始める女。女は将門の娘で、蝦蟇の妖術を使う滝夜叉姫であった」といった感じのもの。
 
蝦蟇に化けるの?娘道成寺みたいな?と思いつつ鑑賞したら、これがたいそう素晴らしかった。二部、実のところは弁天小僧目当てだったのだけれど、印象に残ったのはむしろこちらだったかも。なにしろ玉三郎がすごかった。美しかった。あ、あと、蝦蟇に化けるのではなく、蝦蟇を召還するお姫様だった。玉三郎は蝦蟇にはならんかった。
 
花道で、2本のろうそくの明かりのもとでどんどろどんどろと舞うお姫様。登場した時のその姿は、空気からして「人ならざるモノ」という感じが漂って、鳥肌が立った。金糸銀糸をあしらった着物も美しく、よく見るとクモの巣柄になっていたりして。
 
昔々、神戸で博覧会が開かれた時(ポートピア81、でしたっけ)、坂東玉三郎をモデルにしたロボットが出てくるパビリオンがあって、「綺麗だ!すごく綺麗だ!」と感動のあまり、お土産にとその玉三郎キャラが彫られた記念のコインを買ってもらった記憶がある。もう30年も前に「絶世の美女」だった人が未だに絶世の美女っていうのは、それってどういうことなの……?と、びっくりした。
 
武士の前では「妖艶な傾城」を装っていた滝夜叉姫、本性を現してからの表情の変化もすさまじく(男性のように見得を切るんだけど、その凄みがまた鳥肌)、最後には「屋台崩し」の大変な仕掛けが待っている。
 
べったりべったり出てくる大蝦蟇(人が中に入ってるサイズ。ゆえに、でっかい)も、ぬったりした気持ち悪さが最高だった。いやぁ、良いもの見たなぁ。1階席で見ることができて良かったなぁ。と、上演前までの二等席への文句はどこかに消えて、「良いもの見たなぁ」と。
 
願わくば、ほんと、もうちょっと客席が見やすくて(歌舞伎は舞台全体が見られなくて当たり前、みたいな状況はちと悲しい……)、見にくいなら見にくいなりにチケットがもう少し安かったら言うことないのだけれど。「一等席以外じゃ、生で見てもどうせよく見えないし」ということでは、足を運ぶ気持ちが減退するというもので。
 
歌舞伎座を出ると、もう5時半になろうというところ。お土産物屋をちらっと覗いて、資生堂パーラーのサブレ缶(シックな歌舞伎カラーの缶が可愛い……♪)が可愛いなーと思いつつ、でもあまりの混雑に購入を諦めて帰宅の途についた。
冷や奴
筍とパプリカ、豚肉炒め
きのこのスープ
筍ごはん
ビール(キリンラガー)
夕飯は、手早く作れるようにと事前に考えていた献立を。
 
帰り際に覗いた駅ビルスーパーで美味しそうな豆腐が見切り品の半額だったのをこれ幸いと購入し、あとは帰宅してから「筍とパプリカ、豚肉炒め」を支度した。
 
豚バラ肉の薄切りを、カリッとするまでよく炒め、一口サイズに切った茹で筍、パプリカ、ピーマンと共に炒め合わせる。味付けは塩がメインで、風味づけ程度に醤油をひと垂らし。そして胡椒はたっぷりと。
 
野崎洋光さんレシピの「たけのこと豚肉の炒めもの」を参考にしたのだけれど(パプリカを使うのもレシピにあった)、材料を用意していて、「あ、つまり、和風青椒肉絲ってことか」と思った。肉は細切りにせず、全体に大ぶりにカットするものの、材料は同じような感じ。
 
パプリカは、3色分まとめて買ってきたのを刻んでオリーブ油軽くまぶしてジップロックに詰めて冷凍しておいたもの。カラフルで使い勝手がよく、冷凍による風味の劣化もほとんど気にならなかったのでこれは便利だ。
 
「で?今日の歌舞伎は"灰皿でテキーラの人"は出たの?」
「うーん、灰皿テキーラの人は4月の公演には出なかったなぁ……」
てか、そろそろその呼び方やめてあげない?なんだか可愛そうになっていたよ……なんて息子と話しながらもぐもぐ。
 
息子、ちょびっとだけ歌舞伎に興味ありげなんだけど、演目選ばないと、つまらないだろうしなぁ……私は夏の怪談ものなんか是非見たいところなんだけど。